山形・仙台例会報告

第11回例会報告 山形・仙台例会「東北のチェンバロと仲間たち」
渡邊温子(わたなべあつこ・運営委員)


2014年12月6日(土)7日(日)の2日間、日本チェンバロ協会初の東北地方での例会が行われました。
6日は山形、7日は仙台で、東京外の例会としては大阪・名古屋に次ぐ3回目となりました。


12月6日(土)山形
会場は、イタリア食材カフェ「ピウ・ボーノ」。
15:30〜18:15の間に、梅津樹子氏による1人15分のワンポイントレッスンと、楽器製作者の木村雅雄氏によるトーク「チェンバロの調律ってどうするの?」が行われ、来場者のためのチェンバロ自由試奏タイムも設けられました。
19:00からは、大石祥之氏によるイタリア音楽にフォーカスしたコンサートが行われました。


[演奏曲]
フレスコバルディ:トッカータ第7番(第2巻より)
トラバーチ:Ancidetemi pur Per l’Arpa(d’Archadelt passaggiato)←原語
D.スカルラッティ:ソナタK.12, K.13
J.S.バッハ:イタリア協奏曲

 

 大石氏は2002年から2006年までイタリアのミラノ市立音楽院古楽科とローディ市立音楽院で学ばれ、現在、仙台青葉学院短期大学で講師をしていらっしゃいます。


[使用楽器]
木村雅雄氏2001年製作 フレミッシュ・フレンチ
(モデル:クーシェ1680 - ブランシェ1758 - タスカン1781)


==来場者の感想==
当日はあいにくの雪となりましたが、会場には多くの方々が来場されました。
ミニレッスンや試奏タイムでは、チェンバロに初めて触れる方もおり、最初は戸惑っている様子でしたが、次第に慣れてきて皆様楽しそうでした。
 コンサートでは、様々な作曲家の曲を聴くことができ、また演奏者の方の愛着もひしひしと伝わるアットホームな雰囲気になりました。
 普段触れることの少ないチェンバロという楽器を、この山形で身近に感じることができ、とても貴重な体験をすることができました。(遠山元気)



12月7日(日)仙台
 N-ovalビル1Fの中の2会場で行われました。


13:30〜15:30の間に、製作者の林裕希氏と木村雅雄氏による楽器紹介と、岩成玲子氏と大石祥之氏による1人15分のワンポイントレッスンが行われ、来場者のための楽器自由試奏タイムも設けられました。
15:30からは梅津氏によるトークコンサート「バッハへの道のり」が行われ、L.クープラン:プレリュード/シャコンヌ(へ長調)、フローベルガー:「フェルディナンド4世の悲しき死に捧げる哀歌」(から続く)を含む組曲、J.S.バッハ:プレリュードとフーガBWV881が演奏されました。


梅津氏は1994年から96年にフランス国立パリ地方音楽院に学ばれ、栄誉賞付きディプロムを得て卒業されています。(使用楽器:ハヤシチェンバロ製作所2014年製造製作フレミッシュ・ラヴァルマン・チェンバロ ルッカースモデル)


16:00〜17:00までは、再びワンポイントレッスンと試奏タイムが設けられ、17時からは岩成玲子氏によるトークコンサート「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロで奏でるフランス宮廷音楽」が行われました(ヴィオラ・ダ・ガンバは田中孝子氏)。


[演奏曲]
マレ:ヴィオール曲集第3巻 組曲イ短調より改行プレリュード、グラン・バレ
ラモー:ロンドー形式によるミュゼット、優しい訴え
マレ:ヴィオール曲集第2巻よりスペインのフォリア(抜粋)


岩成氏は2005年よりフランスのアンジェ音楽院、2008年よりカナダのモントリオールのMcGill大学音楽学部古楽器科で学ばれています。

(使用楽器:木村雅雄氏2009年製作 フレンチ チェンバロ、モデル:H.エムシュ, パリ 1756) 


==来場者の感想==
仙台にて~東北のチェンバロと仲間達にたち~に参加するため、当日会場に向かった際、建物の窓からちらりと見えたチェンバロがあまりに素敵で少々興奮気味になりました。
会場に入ると美しい装飾のチェンバロが二2台、圧倒的存在感で置かれていて、レッスンされていたチェンバロの音が聞こえたのが印象的です。そして参加者の多さに驚きました。仙台にはチェンバロに関心を持たれている方が多いことを知り嬉しくなりました。
制製作者の方の説明やチェンバロに直に触れ、音を出せる環境は、時代の音を感じられる貴重な体験であり大きな喜びでした。チェンバロの美しい響きを耳に残し、また、このような機会を設けていただきたいと思いました。(三浦美香)



なお、東日本大震災から4年。この例会の実現にあたっては、震災の時に丁度山形から仙台に向かっていらしたという桒形亜樹子氏の多大なご助力があったということも、一言付け加えさせていただきます。
また、林裕希氏から頂いたメッセージ「願わくばこの例会が会員、愛好家の皆様の参考に資するのみならず、東北の全ての方の『心の復興』の一助となりますように。」ここに込められた思いが実現されたのであれば、これほど喜ばしいことはありません。

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