■日本チェンバロ協会 年報

 『日本チェンバロ協会 年報』は、日本チェンバロ協会が毎年発行する機関誌です。毎号チェンバロを中心としたヒストリカルな鍵盤楽器に関連する、歴史、理論、奏法、そして、思想的背景などに関する多彩な内容を掲載しています。
 毎号独自に編集される特集では、当協会の毎年恒例の催し「チェンバロの日!」で行われる座談会やレクチャーの内容、それらに関係する論文をまとめて紹介しています。また、研究論文・研究ノート、書籍紹介・楽譜紹介、楽器製作家へのインタビュー「アトリエを訪ねて」、海外で活躍・活動されている奏者や留学生による海外レポート、そして会員の録音物紹介など、チェンバリストを含めた鍵盤楽器奏者、さらにはその他の音楽家や愛好家の方にとっても興味深い記事が満載です。

・日本チェンバロ協会 年報は、版元の(株)アルテスパブリッシングのサイトより どなたでもお求めいただけます。

日本チェンバロ協会 年報 2021 第5号

『日本チェンバロ協会 年報 2021 第5号』
発行日:2021年 5月10日
発行:日本チェンバロ協会
発売: 株式会社アルテスパブリッシング
ISBN978-4-86559-236-8 C1073
価格:¥2,800(税別)
 
 第5号の見どころは、二つの特集「古代ギリシャ・ローマと音楽」と「ルッカースのチェンバロ」です。西洋音楽においてキリスト教と並んで重要な音楽素材は古代ギリシャ・ローマの神話ですが、諸川春樹氏への小穴晶子氏のインタビューでは、F.クープランやラモーなどの曲名にちなんだ古代ギリシャ・ローマ神話の素材が絵画とともにわかりやすく紐解かれています。また、大愛崇晴氏による論考では、17〜18世紀のペーリやタル
ティーニらがそれぞれの時代で古代ギリシャ・ローマの音楽をどのように捉えたかについて、彼らの音楽論から読み解かれています。
 「ルッカースのチェンバロ」特集では、野村滿男氏による「ルッカース・ファミリーの歴史と楽器」についての論考(次号に続く)、そして、オンライン座談会「コルマールのルッカースをめぐって」が並びます。この座談会ではフランス、コルマール市の博物館が所蔵するヨハネス・ルッカース製作の楽器を使って演奏録音を行なった奏者の面々が、この楽器とのコミュニケーションや、演奏によって立ち現れるこの楽器の興味深い特質や個性について話し合います。

 研究ノートでは安川智子氏が、フランスの古楽復興初期の第一人者であったサン=サーンスが1915年に行った講演「音楽、とりわけ古楽の演奏実践について」の翻訳と、その内容から彼が考える「古楽」や「古典」を分析・考察しています。

 

日本チェンバロ協会 年報 2021 第5号 目次
 第5号の刊行によせて(副会長・年報編集委員長 久保田慶一)
 
特集1 古代ギリシャ・ローマと音楽
 ・インタビュー「ギリシャ・ローマ神話──美術と音楽を巡って」(諸川春樹/聞き手:小穴晶子)
 ・研究論文

  理想としての古代ギリシャ・ローマの音楽──ペーリ、タルティーニ、カルリの古代音楽観(大愛崇晴)
 
特集2 ルッカースのチェンバロ
 ・研究論文 ルッカース・ファミリーの歴史と楽器(その1)(野村滿男) 
 ・オンライン座談会「コルマールのルッカースをめぐって──CD録音から探るルッカース・チェンバロの魅力」
                (出席者:家喜美子・大塚直哉・桒形亜樹子・渡邊順生/司会:岡田龍之介)
研究ノート
 ・カミーユ・サン゠サーンスにとっての「古楽」と「古典」

   ──ピリオド奏法研究の先駆者として(その1)(安川智子)
 
海外レポート  スイスの工房から(牧田啓祐)
 
書評・書籍紹介
  ・筒井はる香著『フォルテピアノ──19世紀ウィーンの製作家と音楽家たち』

 (アルテスパブリッシング、2020)(平井千絵)
 ・今谷和徳・中村好男・服部雅好編著/武田牧子・関根敏子著
 『オルケゾグラフィ
──全訳と理解のための手引き』(道和書院、2020)(平山絢子)

  ・マルクス・シュヴェンクライス編『即興演奏総説──17–18世紀歴史的資料にもとづくファンタジーレン』

  (スコラ・カントールム・バジリエンシス叢書5、シュヴァーベ出版社、2018)(浅井寛子)
 
楽譜紹介

 ・ウィリアム・バード オルガン・鍵盤曲集──ファンタジアとその関連作品(ベーレンライター社)(郡司和也)
 
アトリエを訪ねて⑤ 野神俊哉(寺村朋子、坂由理)
 
会員録音物紹介
 ・小川麻子『J.S.バッハ/6つのパルティータ』
 ・郡司和也『パリの悦び──オルレアン公フィリップのフランスバロック音楽』
 ・崎川晶子『クープラン家/幸福な思い』
 ・寺村朋子『フォリア/マラン・マレのヴィオル曲集第1巻~第5巻より』
 ・渡邊順生『アンナー・ビルスマin東京』
 ・渡邊順生『J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲全集[Vol.1–2]』
 
日本チェンバロ協会活動記録(2020年度)
日本チェンバロ協会会則
日本チェンバロ協会「年報」規定
日本チェンバロ協会「年報」投稿規定
日本チェンバロ協会 2020年度年報編集委員・役員・運営委員
編集後記

日本チェンバロ協会 年報 2020 第4号

『日本チェンバロ協会 年報 2020 第4号』
発行日:2020年 5月31日
発行:日本チェンバロ協会
発売:株式会社アルテスパブリッシング
ISBN978-4-86559-223-8 C1073
価格:¥2,800(税別)

 

 第4号の特集は「音律」です。「チェンバロの日!2019」の座談会「鍵盤楽器の発展と調律」では、鍵盤楽器の調律を巡って興味深いトピックが次々に飛び出します。その内容は多岐に渡り、来日演奏家も含めた日本での古典調律実践の歴史、音律や調律の語源でもある「テンペラトゥーラtemperatura」と関係付けた「wohltemperiert」の思想的背景、そして、それと当然関連するJ. S. バッハの意図した調律などが主なものです。
 音律に関する論考としては、17-18世紀のフランスの数学者・物理学者 J.ソーヴールが行なった音律に関する講義内容から、43分割音律の理論や、分割鍵盤のないフランスの楽器における1/5ミーントーンの適用方法について、
中川岳氏によって記されています。また、G.フレスコバルディの「平均律」による新オルガン建造についての大岩みどり氏による論考が並びます。

 その他、平林朝子氏による「イギリス・ヴァージナル 装飾法」では、当時の装飾記号についての新たな解釈がなされます。楽譜紹介では、興味深いレパートリーを持つ「18世紀のローマ・ナポリ楽派による作品集―チェンバロのための17の珍しい作品集」を掲載しています。

日本チェンバロ協会 年報 2020 第4号 目次

 第4号の刊行によせて(副会長・年報編集委員長:岡田龍之介)
 
特集 音律をめぐって
・座談会 鍵盤楽器の発展と調律(登壇者:桒形亜樹子・藤原一弘・横田誠三/司会:大塚直哉)
 
研究論文
・イギリス・ヴァージナル音楽における装飾法の新解釈(平林朝子)
・ソーヴールの43分割音律とその適用(中川岳)
・作品と音律の関係についての一考察
 ──フレスコバルディはなぜバルベリーニ枢機卿に平均律を推奨したのか(大岩みどり)
 
書評・書籍紹介
・J.-Ph.ラモー著/伊藤友計訳『自然の諸原理に還元された和声論』
(音楽之友社、2018)(安川智子)
・R.カークパトリック著/原田宏司監訳/門野良典訳『ドメニコ・スカルラッティ』
(音楽之友社、2018)(平野智美)
・西田紘子ほか著『ハーモニー探究の歴史』
(音楽之友社、2019)(川井博之)  


楽譜紹介
・18世紀のローマ・ナポリ楽派による作品集──チェンバロのための17の珍しい作品集(渡邊孝)
 
アトリエを訪ねて④  伊藤福一
 
海外レポート
・ニューヨーク便り(法月里野)
・アルゼンチン記(吉見伊代)
 
会員録音物紹介
・渡邊孝ほか『ポルタ・マーニャ/チェロ・ソナタ集』
・荒木紅ほか『ヨーゼフ・エルスネル/室内楽全集』
・山名朋子・山名敏之『シューベルト/フォルテピアノによる4手連弾作品全集 第1巻 エキゾティシズムと対位法』
・桒形亜樹子『ルイ・クープラン/クラヴサン曲集』
・鈴木理賀『J.S.バッハ/パルティータ[全曲]』
 
日本チェンバロ協会活動報告(2019年度)
日本チェンバロ協会会則
日本チェンバロ協会「年報」規定
日本チェンバロ協会「年報」投稿規定
日本チェンバロ協会 2019年度年報編集委員
日本チェンバロ協会 2019年度役員・運営委員
編集後記

日本チェンバロ協会 年報 2019 第3号

『日本チェンバロ協会 年報 2019 第3号』
 
発行日:2019年 5月31日
発行:日本チェンバロ協会
発売:株式会社アルテスパブリッシング
ISBN978-4-86559-198-9 C1073
価格:¥2,800(税別)
 
 この号ではチェンバロ・レパートリーの最も重要な作曲家の一人「フランソワ・クープラン」の特集を組んでいます。

 「チェンバロの日!2018」の講演、関根敏子氏による「彼の時代と音楽」では、F.クープラン当時のパリについて古地図から当時を読み取ります。また、小穴晶子氏はクープランの標題付き描写音楽の背景を、アリストテレスのミメーシス論、画家 シャルル・ル・ブランの情念表現論、ラ・ブリュイエールのカラクテール論などの美学思想史のさまざまな角度から探っていきます。
 宮谷尚美氏の論考では、ゲーテの『若きヴェルターの悩み』における「クラヴィーア」に焦点を当て、文学的にその役割を解き明かし、また、このクラヴィーア自体がいかなる「鍵盤楽器」であったかを推論しています。そして、上田泰史氏は、18世紀からは大きく変化した19世紀の鍵盤楽器奏者の演奏における身体のありかたについて、19世紀前半のフランスのピアノの教本から論じています。

 書籍紹介としては、フランソワ・クープラン『クラヴサン奏法』の桒形亜樹子氏による新訳版、グイド・ダレッツォ『ミクロロゴス』の中世ルネサンス音楽史研究会訳、村上則子著『ラモー 芸術家にして哲学者』を掲載しています。

日本チェンバロ協会 年報 2019 第3号 目次
 刊行によせて(会長 久保田慶一)
 
第3号の刊行によせて(副会長・年報委員長 桒形亜樹子)
 
特集 フランソワ・クープラン 
──彼の時代と音楽

 ・講演 クープラン時代のパリの地図から見る音楽事情(関根敏子)
 ・標題付き描写音楽の思想的背景を探る──美学思想史の観点から(小穴晶子)
 
研究レポート
 ・J.P.ミルヒマイアー『正しいピアノフォルテ奏法』(1797年)──第3–6章(訳:小沢優子、久保田慶一)
 
研究論文
 ・ゲーテ『若きヴェルターの悩み』における「クラヴィーア」(宮谷尚実)
 ・フランスにおけるピアノの演奏表現と身体の理想

   ──18世紀末から19世紀前半のピアノ教本を中心に(上田泰史)
 
書評
 ・フランソワ・クープラン著/枽形亜樹子訳『クラヴサン奏法[対訳版]』
(全音楽譜出版社、2018)(梶山希代)
 ・グイド・ダレッツォ著/中世ルネサンス音楽史研究会訳『ミクロログス(音楽小論)』
(春秋社、2018)(大愛崇晴)
 ・村山則子著『ラモー 芸術家にして哲学者』
(作品社、2018)(上薗未佳)
 
楽譜紹介
 ・ゴットリープ・ムッファト『6つの組曲』
(ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社)(伊藤一人)
 ・ジローラモ・フレスコバルディの手稿譜鍵盤作品集──「フレスコバルディ以前のフレスコバルディ」と「フレスコバルディ以後のフレスコバルディ」(大岩みどり)
 
アトリエを訪ねて③ 木村雅雄
 
博物館を訪ねて 第2回 国立音楽大学楽器学資料館(武田有里)
 
海外レポート
 ・DUMISTE(デュミスト)という肩書きを持った音楽家(柳澤藍)
 ・古楽×モダン──ベルリンから見た現在と未来(荒木紅)
 ・アメリカ滞在記(平林朝子)
 
会員録音物紹介
 ・松岡友子ほか『ジャコモ・ファッコ/マスター・オブ・キングス』
 ・植山けい『バッハ/6つのパルティータ』
 ・桒形亜樹子『バッハ/平均律クラヴィーア曲集第1巻』
 ・加久間朋子ほか『音楽三昧/ゴルトベルク変奏曲』
 ・加久間朋子ほか『ヴァイオリンとハープシコードの情景』
 ・中村恵美ほか『ウィリアム・バード&ジャパン』
 ・鴨川華子ほか『イグナツィオ・ジーバー/6曲のリコーダーと通奏低音のためのソナタ』
 ・平野智美ほか/三澤寿喜指揮キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団

  『ヘンデル/メサイア 1741年初稿版』
 ・辰巳美納子『ジロラモ・フレスコバルディ/鍵盤作品集』
 
日本チェンバロ協会活動記録(2018年度)
日本チェンバロ協会会則
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日本チェンバロ協会 2018年度年報編集委員
日本チェンバロ協会 2018年度役員・運営委員
編集後記

日本チェンバロ協会 年報 2018 第2号

『日本チェンバロ協会 年報 2018 第2号』
発行日:2018年 5月31日
発行:日本チェンバロ協会
発売:株式会社アルテスパブリッシング
ISBN978-4-86559-186-6 C1073
価格:¥2,800(税別)
 
 今号の特集は「チェンバロ復興と今」です。前年度の「チェンバロの日!2017」での座談会では「チェンバロ演奏による現代音楽」について活発な議論が行われました。チェンバロといえばバロックや初期古典派のレパートリーが想定されますが、古楽復興運動初期やその後にも工夫が重ねられて製作された「モダン・チェンバロ」の存在や、20世紀初頭から現在に至るまで作曲されている新しいレパートリーについてなどがその主な内容です。この座談会では、作曲家の増本伎共子氏ご本人が鍋島元子氏によって依頼されたチェンバロ作品などについても詳しく語っています。
 中津川侑紗氏による論考では、W.ランドフスカの『古楽』の概要とその改訂の動機から、ランドフスカの「古楽」演奏についての考え方が明らかにされています。

 書評では、久保田慶一氏訳による L.モーツァルトの『ヴァイオリン奏法』と荒川恒子氏訳による J.J.クヴァンツの『フルート奏法』新訳版について掲載。楽譜紹介では『J.カバニリエス作品全集』や G.レオンハルトによる J.S.バッハの器楽作品のチェンバロ編曲版について掲載されています。さらに J.ミルヒマイアーの『正しいピアノフォルテ奏法』(1797年)第1〜3章が小沢優子氏と久保田慶一氏による翻訳によって紹介されています。この翻訳は次号にも続きます。

日本チェンバロ協会 年報 2018 第2号 目次
 刊行によせて(会長 久保田慶一)
 
特集 チェンバロ復興と今
 ・座談会 チェンバロ復興と今 ──楽器と音楽から──

 (登壇者:増本伎共子、本間みち代、染田真実子/司会:大塚直哉)
 ・ワンダ・ランドフスカ『古楽』とその改訂の試み(中津川侑紗)
 
研究レポート
 ・J.P.ミルヒマイアー『正しいピアノフォルテ奏法』(1797年)──第1、2章(訳:小沢優子、久保田慶一)
 ・『記譜法の歴史』徹底解説講座を実施して(福島康晴)
 
書評
 ・レオポルト・モーツァルト著/久保田慶一訳『ヴァイオリン奏法[新訳版]』
(全音楽譜出版社、2017)

 (小沢優子)
 ・ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ著/荒川恒子訳『フルート奏法[改訂版]』
(全音楽譜出版社、2017)

 (小沢優子)
 
楽譜紹介
 ・J.カバニリエス作品全集より第1巻、第2巻(森洋子)
 ・J.S.バッハ=レオンハルト 組曲、パルティータ、ソナタ 
──チェンバロ編曲集(三島郁)

 
アトリエを訪ねて② 春山直英
 
博物館を訪ねて 第1回 ベルリン楽器博物館訪問記(宮谷尚実)
 
海外レポート
 ・北フランス・アブヴィルのクラヴサン・クラス(會田賢寿)
 ・南仏トゥーロンでの通奏低音レッスン(郡司和也)
 ・スペイン・バルセロナ カタルーニャ高等音楽院古楽科伴奏者として(松岡友子)
 ・わたしのイタリア紀行?(渡邊孝)
 
会員録音物紹介
 ・鈴木美登里ほか『音楽の諧謔』
(Arte dell’arco Japan)
 ・小池香織ほか『バッハ×ヴィオラ・ダ・ガンバ』
(ALM Records)
 ・平野智美『《1685》 後期バロックの3巨匠 スカルラッティ、ヘンデル、バッハ』
(ALM Records)
 ・渡邊順生『ピアノとチェンバロの狭間で 
──タンゲンテンフリューゲルで弾く18世紀の鍵盤音楽』

  (ALM Records)
 ・桒形亜樹子『メディテーション 
──フローベルガーの眼差し』(Dream Window―Tree)

 ・野澤知子ほか『悪魔のフォルクレ』(Livenotes)
 
日本チェンバロ協会活動記録(2017年)
日本チェンバロ協会会則
日本チェンバロ協会「年報」規定
日本チェンバロ協会「年報」投稿規定
日本チェンバロ協会 2017年度年報編集委員
日本チェンバロ協会 2017年度役員・運営委員
編集後記

日本チェンバロ協会 年報 2017 創刊号

『日本チェンバロ協会 年報 2017 創刊号』
発行日:2017年 5月20日
発行:日本チェンバロ協会
発売:株式会社アルテスパブリッシング
ISBN978-4-86559-165-1 C1073
価格:¥2,800(税別)
 
 日本チェンバロ協会が2011年に発足してから6年、満を持しての発行となった創刊号です。本号の巻頭記事は、当協会の最初期に会長職を務めた小林道夫氏へのインタビューです。日本におけるチェンバロ奏者パイオニアの一人である氏が、チェンバロに出逢あった経緯、影響を受けた音楽家について、そして若い奏者への助言を語っています。
 特集では本号出版年である2017年のフローベルガー生誕400年を記念して、J.J.フローベルガーと彼がローマでついたG.フレスコバルティに関する論文3本が並びます。久保田慶一氏はベルリンで発見された彼自身の手稿譜[SA4450]も含め、没後も様々な版が出版されているフローベルガーの楽譜を種別に整理しています。また桒形亜樹子氏はフローベルガーがその[SA4450]中の「説明付きのアルマンド」に付された説明を緒に、曲にみられる修辞的要素の解釈を示しています。さらに大岩みどり氏は当時交わされた手紙などの資料を元に、フレスコバルディの作品の献呈のありかたを論じています。また「楽譜紹介」では、山名敏之氏が W.A.モーツァルトの、そして副島恭子氏が F.クープランのそれぞれ新刊について、当時や現代の出版譜との比較も交えながらの研究的論考としても読むことができます。

日本チェンバロ協会 年報 2017 創刊号 目次
 日本チェンバロ協会「年報」の刊行によせて(会長 久保田慶一)
 
特集Ⅰ 小林道夫先生インタビュー「音楽の演奏は魂の仕事」
 
特集Ⅱ フローベルガー生誕400年
 ・歴史と現代におけるフローベルガー ──ベルリンに残された楽譜を中心として(久保田慶一)
 ・フローベルガーの鍵盤楽曲の演奏解釈 ──修辞学的視点から(桒形亜樹子)
 ・ジローラモ・フレスコバルディは献呈相手をどう選んだか──《トッカータ集》(第1巻1615;第2巻1627)を中心に(大岩みどり)
 
書評
 ・アンナー・ビルスマ、渡邊順生著『バッハ・古楽・チェロ 
──アンナー・ビルスマは語る』(崎川晶子)

 ・渡邊温子著『古楽でめぐるヨーロッパの古都』(岡田龍之介)
 
楽譜紹介
 ・W. A.モーツァルト:クラヴィーア・ソナタK.331の自筆譜一部発見(2014年)後の新しい2つの原典版

 (ヘンレ社、全音楽譜出版社) (山名敏之)
・フランソワ・クープラン:クラヴサン曲集 第1巻
(ベーレンライター社) (副嶋恭子)
 
アトリエを訪ねて① 故・柴田雄康(1947–2013)
 
海外レポート
・「オール・オブ・バッハ」のインヴェンション・プロジェクトに参加して(大藤莞爾)
・「フランス・バロック・オペラ」プロジェクトに参加して(濱田あや)
・リヨン国立高等音楽院 チェンバロ・通奏低音科で学んで(曾根田駿)
・チェンバロ探求の旅(植山けい)
 
日本チェンバロ協会活動記録(2012–2016年度)
日本チェンバロ協会規約
日本チェンバロ協会「年報」投稿規定
日本チェンバロ協会 2016年度年報編集委員
日本チェンバロ協会 2016年度役員・運営委員
編集後記

 日本チェンバロ協会 年報 は、版元の(株)アルテスパブリッシングのサイトより、どなたでもお求めいただけます。価格は各号 1冊 2,800円(税別)です(送料などについては、販売サイトをご覧ください)。
 会員の方には次年発行の年報を無料でお届けしていますが、サポーター会員の皆様には年報特典がございませんので、(株)アルテスパブリッシング(通年対応)あるいは、協会での販売期間にお求めの上ご覧ください。

 

 *例えば、2021年度の第5号は、20年度の会員資格をお持ちであった方に会員特典として無料でお送りしています。

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