例会 通奏低音講座 実践編

日本チェンバロ協会 例会 通奏低音講座 実践編 

第2回 リコーダーとともに  

講師:廣澤麻美 リコーダー:深井愛記音


2014年6月28日(土)14時~18時 

古楽研究会 Space 1F

 

受講生・聴講生を募集いたします!

 

受講対象:通奏低音の数字は読めるが、アンサンブルの経験がないか少ない方
よりアンサンブルのレベルを上げたい方 旋律楽器や様式の違いによる通奏低音を学びたい方
※会員外の受講も受け付けますが、レベルは以下の初級・中級に準じます。

 

初級(数字は読めるが、アンサンブルの中での経験が無いか、少ない人)
中級(よりアンサンブルのレベルを上げたい人)

 

聴講対象:どなたでも歓迎いたします

 

実施内容:4時間のワークショップ形式(休憩あり)。

受講者は練習してきた課題曲を、旋律楽器奏者と共に代わる代わる演奏しながら、講師からのアドバイスを受けます。

同じ曲でも演奏者によって異なる通奏低音の実践を、受講者同士が聴き合うことによっても、より深く学ぶことができます。

 

課題曲:

■初級 G.F.ヘンデル ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ ハ長調 Op.I-Nr.7 (全楽章でなくても可)

 

■中級 以下の3曲より1曲をお選びください。
 G.F.ヘンデル ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ イ短調 Op.I-Nr.4
 G.F.ヘンデル    同上 ヘ長調 Op.I-Nr.11
 A.ヴィヴァルディ 「Il Pastor Fido(忠実な羊飼い)」Op.13 フルート(ブロックフ   レーテ)又はオーボエ又はヴァイオリンと通奏低音のための6つのソナタより 第6番 ト短調

 

※進行状況により、ご用意頂いた曲すべてをレッスンする事が出来ない場合がございます。ご了承ください。

 

受講料: 正会員 8,000円/一般会員 10,000円/一般(会員外)14,000円/
学生会員5,000円(先着順2枠に限る。3枠目からの学生会員は正会員料金となります。)

 

聴講料: 日本チェンバロ協会 正会員 1,500円/一般会員 2,000円/一般(会員外)3,000円

 

●お申込み・お問合せ
お名前、お電話番号、メールアドレスを明記の上、受講/聴講のいずれか、受講の場合は初級/中級のいずれか、及び、正会員/一般会員/一般のいずれかを選択し明記した上、お申し込み下さい。

 

お電話の場合
Tel.080-9661-8196(日本チェンバロ協会お問い合わせ専用電話。

お問合せ可能時間/毎週火曜日と6月21日~28日の10時~19時)

 

Eメールの場合
cqq00544@nifty.com (例会係。件名に「通奏低音講座実践編 第2回」とお書き下さい)

 

多数のご参加をお待ちしております。

 

 

 

講師紹介 廣澤麻美先生

ⓒFujisato Ichiro
ⓒFujisato Ichiro

都立芸術高校音楽科、武蔵野音楽大学、東京芸術大学音楽学部卒業および同大学院修士課程修了。DAAD給費留学生としてヴュルツブルク音楽大学に留学、マイスターディプロムを取得。チェンバロを鈴木雅明、G.ウイルソン各氏に師事。また文化庁派遣芸術家在外研修員としてハンブルクにてW.ツェラー氏にオルガンを師事。
東京芸大にて安宅賞受賞、第3回古楽コンクール第3位、ヴュルツブルク市音楽協会コンクール第1位、「プラハの春」国際音楽コンクール・チェンバロ部門第3位、J.H.シュメルツァー国際古楽コンクール第3位に入賞。
ヴュルツブルク音楽大学講師を経て現在東京芸術大学音楽学部講師。日本基督教団阿佐ヶ谷教会オルガニスト。
スウェーデンBISよりソロCD「クープラン一族のチェンバロ音楽」(BIS-CD-982)をリリース。チェンバロ、オルガンを中心としたソロ活動の他、通奏低音奏者として数々のアンサンブルや、東京フィルハーモニー交響楽団、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団などにもたびたび客演。最近ではダンスカンパニー「コンドルズ」の石渕聡氏とロックやオリジナル曲によるライブシリーズを行うほか、同カンパニー主催のダンサー・振付家の近藤良平氏とコラボレーションを行うなど、ジャンルを超えた様々なパフォーマンスで活動中。

 

 

日本チェンバロ協会主催 通奏低音講座実践編第2回 講師インタビュー
 
今回の講師をお願いしております廣澤麻美さんに、インタビューをいたしました。広沢さんの最近の活動としては、2月から3月にかけて、バロックオペラと狂言・能とのコラボレーション「バロックオペラ@能楽堂」のヨーロッパ公演に通奏低音奏者として参加され、フランスとスイスで計7公演を成功に導かれたとのことです。

 

Q. バロックオペラと能・狂言とのコラボレーション、とても興味深い企画ですね。演目は?

 

A. ペルゴレージの「リヴィエッタとトラコッロ」と、シャルパンティエの「アクテオン」です。ペルゴレージは、男性の狂言師と女性のソプラノ歌手が演じました。シャルパンティエの方は、4人の歌手はクラシックの歌い手で、その音楽に合わせて能楽師が舞いました。

 

パリ公演の様子 

Q. 日本の伝統芸能とのコラボレーションということでしたが、音楽を作る上で何か違いがありましたか?

 

A. オペラ自体は、ほとんどそのままの音楽で演奏されました。演出の都合上多少のカットもありましたが。シャルパンティエの方では、歌い手さんは黒の紋付を着て正座して見台(謡<うたい>のための譜面台。譜面はほぼ水平に置かれる)を見ながら歌うので、足があざだらけになり、大変そうでした。

ローザンヌ公演の様子 

Q. イタリアオペラとフランスオペラを一つの公演で両方演奏されたわけですが、この二つを演奏するときに、通奏低音の観点から違うところはどんなところでしょうか?

 

A. この演目は、イタリアとフランスというよりも、喜劇と悲劇という違いも大きいのですが、今回の演目を比較すると、ペルゴレージの方は和声が単純にできています。通奏低音の数字も、6か7か、たまに減7が出てくるくらいですので、その分工夫がいりますね。セッコのレシタティーヴォも多いので、その分遊べるというか、歌の内容に合わせて、効果音的な音型をいれたりする余裕がありました。演奏の仕方としては、ブッファなので諧謔的な感じを出すために、右手の和音を少し短めに弾いたり、役柄のキャラクターに応じて音域を変化させたりしました。例えばバリトンに高めの音域、ソプラノにはより低めの音域、といった具合に、です。
シャルパンティエの方は、主人公が「女の嫉妬」の呪いがかかって鹿の姿に変えられてしまうというものだったので、ドラマチックな和声付けが要求されました。数字でいうと7とか9とか不協和音のオンパレードで。そして、能管(日本の笛)が入ったのですが、即興的に非和声音を吹いているのに、全く違和感がなかったです。日本公演の時には低音楽器にバス・ヴィオロンを使ったのですが、ヨーロッパ公演では運搬上の都合でペルゴレージと同じバロックチェロを使いました。一緒に演奏するチェンバロ奏者としては、どちらと弾くかによってやはり多少違って弾いているように思います。チェンバロについても、本当はペルゴレージにはイタリアン、シャルパンティエにはフレンチを使いたかったですね(笑)

 

リヴィエッタ役の臼木あいさん・トラコッロ役の善竹富太郎さん(大蔵流狂言師)と共に

Q. ヨーロッパ公演のお話、ぜひ28日の講座の中でもお聞かせいただきたいと思いますが、最後に今回の通奏低音講座に向けて、ひとことお願いいたします。

 

A. 今回の課題に、ヘンデルを選びました。ヘンデルのソナタはどちらかというとイタリア様式が強いのですが、緩徐楽章にはサラバンドなどの舞曲を連想させるようなものが多くあります。通奏低音にもフランス的な装飾を入れられる可能性が多くあります。こうしたイタリアとフランスの様式の融合が、ドイツの作曲家の作品の面白いところだと思います。今回、素晴らしいリコーダー奏者の深井愛記音さんが共演してくださいますので、受講はもちろん、聴講するだけでも、それぞれのレベルに合った発見があると思います。ぜひご一緒に楽しみながら、音楽作りを学んでいきましょう!

(聞き手・渡邊温子)

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