「チェンバロの日!2017」座談会 「チェンバロ復興と今 楽器から音楽から」

Bホール

 

座談会

「チェンバロ復興と今 楽器から音楽から」

20世紀初頭、バロック音楽の復興とともに新しい機構を持った、いわゆる「モダンタイプのチェンバロ」が生まれ、この楽器のために新しい作品が次々と書かれました。その後、当時のオリジナル楽器の修復と再現(「ヒストリカルタイプのチェンバロ」)が盛んになると同時に、当時の演奏法も研究されていきます。そのような流れを受けて現在ではこの2つのタイプのチェンバロのために、新しい曲が書かれています。

今回の座談会は、演奏家と作曲家の観点から、そのようなコンテンポタリー作品の側面を通して「チェンバロ復興の今」を探ってみよう、という興味深い企画です!

【座談会出席者】

増本伎共子(作曲家)

本間みちよ(チェンバロ奏者)

染田眞実子(チェンバロ奏者)※コンテンポラリー作品演奏予定

司会:大塚直哉

【演奏予定曲】

Sound Mosaic Ⅲ for harpsichord (2010)より

第2楽章 藤原嘉文

(...presque pas.) (2015)より

第1楽章、第2楽章 Daan Janssens

Arabesque alla Japonaise (1988) 増本伎共子

【プロフィール】

増本伎共子 MASUMOTO Kikuko 作曲家

東京出身。桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科(作曲専攻)卒業。同校名誉教授。柴田南雄、別宮貞雄の諸氏に師事。創作オペラ「浅茅ヶ宿」で1986年度 文化庁舞台芸術創作作品奨励特別賞を受賞。連作歌曲「白秋の世界」(仮題)が1994年度 第五回奏楽堂コンクール(作曲の部)で第一位入賞。国際古楽コンクール〈山梨〉2017リコーダー部門課題曲「まほろば」作曲。

作曲の他日本の伝統芸能の研究にも携わり、「雅楽-日本伝統音楽の新しいアプローチ」「新版雅楽入門(2010年新刊)」などの著書もある。日本現代音楽協会、作曲家協議会、東洋音楽学会会員。

本間みち代 HONMA Michiyo チェンバロ

上野学園大学古楽器科チェンバロ科卒業。

第7回パリ国際クラヴサンコンクールで現代曲部門奨励賞を受賞。

山田貢氏にヒストリカル・チェンバロを、またエリザベト・ホイナツカ氏にモダンチェンバロ奏法のレッスンを受ける。モダンチェンバロとヒストリカルチェンバロの現代音楽作品を数多く紹介している。

1989年、現代音楽祭「パン・ムジーク・フェスティバル」にてソロ・リサイタル。(韓国・ソウル・アート・センター)。

1997年 ISCM World Music Day'sに出演。(韓国・ソウル)

1995年、ポーランド放送局主催「ヴォジミエッシュ・コトニスキ 70才記念コンサート」に出演。(ポーランド・ワルシャワ)

NHK「土曜リサイタル」でモダンチェンバロの作品を紹介。

平成12年度第55回文化庁芸術祭に参加。

2011年、デンマーク・エンゴルム教会にてソロ・リサイタル。 (デンマーク)

デンマークと日本の現代音楽を演奏。

2012年、デンマーク・ネストヴェズで行われたSusa Festivalにてソロ・リサイタル。(デンマーク)

デンマーク・オランダ・ポーランド・日本の現代チェンバロ作品を演奏する。

他、国内外でコンサート活動を行っている。

CD

SteepleChase Kontrapunkt [Nine soli/ib norholm]

SteepleChase Kontrapunkt [Contemporary music for harpsichord]

Classico [Hans-Henrik Nordstrom 3]

Classico [Hans-Henrik Nordstrom 4] 他

神楽坂チェンバロスタジオ 主宰

染田真実子 Mamiko SOMEDA チェンバロ

奈良県出身。桐朋学園大学音楽学部(チェンバロ専攻)、同研究科修了後、2012年渡仏。ストラスブール音楽院スペシャリザシオン課程修了後、ストラスブール大学及びAcadémie supérieure de musique de Strasbourgの大学院演奏科(クラブサン専攻)を優秀の成績で修了。渡仏後に現代音楽の中でのクラブサンの魅力に高い関心を持ち、修士論文のテーマは、≪日本におけるクラブサンの展望~日本人作曲家によるクラブサンと日本の伝統楽器のアンサンブル作品~≫。

2015年、Les Journées 2015 de Clavecin en France にて、『Sound Mosaic III(2010)』(藤原嘉文)のフランス初演、好評を得る。同年、同音楽院の優秀学生の選抜を受け、『夢見る雨(1986)』(武満徹)をPrintemps de la Musique Ancienne–Bach dans l’intimité のコンサートにて好演。2016年マスター修了リサイタルにおいてはバロック時代の作品と現代音楽作品を織り交ぜたプログラムを企画し、チェンバロと笙のための作品『空の鳥船(2002)』(藤井喬梓)をフランス初演。同年、アムステルダムにおいて、同作品をオランダ初演。

2015年、オランダ、アムステルダム、現代音楽コンクール、Prix Annelie de Man第2位、作曲家Roderik de Man、Eric Maestriの各氏より称賛を受ける。

これまでにチェンバロを中野振一郎、有田千代子、Aline Zylberajch、現代のチェンバロ奏法をGoska Isphording、オルガンを水野均、Francis Jacobの各氏に師事。

バロック時代の即興を、Markus Schwenkreis、Francis Jacob、現代の即興をJean-marc Foltzの各氏に、またバロック時代の室内楽を有田正広、寺神戸亮、Emmamuel Girard、今村泰典、Martin Gester、現代音楽の室内楽をArmand Angster、Pascal Contet、Jean-marc Foltz、の各氏に支持。

在学中より教会や博物館でのバロック作品の演奏会の他に、アコーデオン、パーカッション、クラリネット、日本の伝統楽器などと20世紀、21世紀の作品を通してチェンバロの新たな表現の探究に取り組む。また通奏低音奏者として、リサイタルや国内外のコンクールの伴奏を務める。今秋に関東、関西での自身初のソロリサイタルを予定。

【司会】大塚直哉 OTSUKA Naoya チェンバロ奏者

東京藝術大学楽理科を経て、同大学院博士後期課程(チェンバロ専修)を修了。またアムステルダム音楽院チェンバロ科およびオルガン科を卒業。

チェンバロ・オルガン・クラヴィコードの奏者として活発な活動を行うほか、これらの楽器に初めて触れる人のためのワークショップを各地で行っている。

 

チェンバロソロCD「ルイ・クープラン作品集」(コジマ録音)ほか録音多数。東京藝術大学准教授、国立音楽大学非常勤講師。NHKFM「古楽の楽しみ」案内役。

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